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初稿と校正

こんにちは!!
気温の上昇、湿度の上昇とともに脳内のCPUが熱暴走を起こしております。体内のヒートシンクが働いて、熱を下げようと冷やすのですが、額や腕や背中に結露が発生してビタビタです。依ってこの時期に打ち合わせ等で外出のある日はポロシャツで出勤し、打ち合わせ前にワイシャツに着替えます。発売して今年42年目の旧型マシンな名駅校の平田です。

最近ってわけでもないですが、この業界に入ってから思うことでもあり、そして今でも聞くし思うこと。
それは「校正」について。
校正ってのは、制作側がデザインなどの制作物をクライアント(代理店含む)に提出して、その制作物に対しての修正や変更のこと、また、その一連の流れを大体は「校正」と呼んでいます。

提出されたデザインが企業のイメージに合わない、ダサい、文字が間違ってるなど、「明らかに違う」というものであれば、校正にも納得がいく、というか、その校正も意味があるんですが、校正のなかには「これ、意味あるか?」という校正も多々あります。
この業界に長くいる方やそれなりの経験されている方ですと「あ、これ、マズイパターンだ」ってわかる校正ってありますよね?今回はそんなお話です。

初稿が一番いい?

先日、競合の広告代理店の営業マンの方から、クライアントへのグチを聞きました。
「仕事だから修正や変更などの校正は対応してるんですけど、結局、初稿が一番いいんですよね。デザイナーが真剣に考えてテーマに沿って作ってるんだから・・・」
はい、僕もそう思います。
全てが、そう、とは言い切りませんが、そういったことは度々あります。

クライアント案件でも社内案件でもそうですけど、第三者に見せるデザインですから、第三者視点でまとめてあるデザインのほうがよかったりすることも多々あります。それがクライアントの社内会議(社内案件であれば自社内の部署の会議)などで色んな意見を加えて出てきた結果、「なんだこれ・・・」という内容になることがあります。

センスの問題もありますが、主観で見てしまっているため、「ユーザー視点で物事を考える」より「自分たちが伝えたいこと」が優先されてしまっているからじゃないかな、と思っています(まぁ、センスが壊滅的な方もいますけどね・・・)。

「あれもいれろ」「これもいれろ」、特にチラシなどではよくあるパターンですが、何が一番伝えたいのか、わからなくなってきてしまいます。あ、あとバナー画像もだ。そんな文字入れても読まないし、読めないサイズだよ、と。いや、わかりますよ?より沢山の情報を伝えたい、という想いは。わかりますけど、結局伝えたいことがボケちゃったら意味なくね?って話です。

結局、「いつもと同じ」に行き着く

マンネリしているからデザインやイメージを一新したい、というご要望もあります。
サイトのリニューアルなんかもそういった理由ありますし。デザインだけじゃないですけどね。方向性や仕様、意図なんかも一新されます。

先日、こんなやりとりがありました。
いつもは「派手派手しく、期間が短いキャンペーンモノ、どかーんと大きな画像やパーツ作って、煽り文句入れまくっているLP」という案件なんですけど、「今回は商品紹介も兼ねていて、期間も半年以上の期間があり、先ずは資料請求やブランドの認知を図りたい」、という意図だったから「いつもとは違うデザインを」、という話で進んでいるのに、出来上がったデザインを見て、「うーん、ちょっと違うなぁ・・・」と。

で、出てきた修正のイメージが「どかーんと大きな画像やパーツ」「仰々しい煽り文句」が記載された修正イメージ。結局いつもと同じかい!と思いました。

まぁ、多分そうなるだろうなぁ、と思っていたので、反論の用意はしていましたが・・・。
結局ね、見慣れているものになってしまうんですよ。

意図的にイメージが似ているってのもありますが、担当者が同じ方ですと、どうしてもその方の感覚に影響される部分があります。クライアントですからね。
我々、制作側は最終的にはクライアントの意向には沿うカタチを取りますので、そこはどうしてもね・・・(そこが、デザインとアートの違いでもありますが)。なんとかお互いの着地点を見つけてそこに落としこむことで、最悪の事態は免れましたが・・・。

複数の修正箇所×複数の修正回数=ミスの誘発 または 初稿に戻る

そういった校正を繰り返していくうちに起こりうる事象があります。
こっちをこう変えると、それに伴い、ここも変わって。で、それを修正した結果、今度はこっちを変えなきゃいけないから、これを変えて、そしたら、この部分も変えて・・・といった感じで修正は連鎖します。修正箇所が連携する、ともいえますかね。で、それが何箇所もあったりして、それが複数回あるわけです。そうすると何が起こるのか、というと、

修正ミスが高確率で発生する
作った当初はミスではなかった部分が繰り返される校正のなかでミス(要は修正漏れであったり、指示漏れ)に変わってしまい、時間に追われるクライアント担当者と対応に追われる制作側担当者で確認ミスが発生します。

クライアント側は「ここを修正したんだから、こっちも変わるのはわかっているだろう」と思っていたり、そもそも気づいてなかったり、制作側は「言われた部分だけを修正しよう」ですから、そこの確認ミスから修正ミスが最後まで確認されることなく素通りしていきます。

制作側は制作のプロですが、掲載されている商品やサービスについては素人というか、無知なわけですから、それが正しいのか間違っているのかはわかりません。また対応に追われますし、指示に対して正確に修正するのがまず義務ですので、そこを最優先に対応します。すると、チラシが刷り上がったり、LPが公開後に「なんでこんな表記になっているんだ」なんてことはよくあります。

初稿に戻る
上記のように修正をおこない、色んな意見に振り回され、あれもこれもと情報を入れたり、色々とレイアウト変更を指示したりしていくと却ってどんどんおかしくなったり、悪くなることもしばしばあります。「収取がつかなくなる」といった表現のほうが正しいかもしれません。

モノを分解したり壊したりして元に戻そうとして焦るけど、どんどんおかしくなっていく、そんな感覚です。で、そういった修正や校正を繰り返していって、最終的に「一番最初のが一番いいよね」という意見に落ち着くことも多々あります。これは実体験でも言われたことあります。

迷走する校正への対応

指示が思いつきとか迷走してしまうときもあります。
期限があるからクライアント側も校正をやろうとしますが、「何が正解かわからない」状態で校正を出してきてるからでしょうかね。
なんとなく、そういったときの校正は指示を聞けばわかります。「あ、迷走してる」って。

情報に一貫性がなかったり、さっきはOKだった部分に修正が入っていたり、試しに、ここをこうしてみて?といった「お試し」が入っていたり・・・。
イメージがつかないからそういった依頼になると思いますが、そのお試しの作成も簡単に出来るわけじゃないものもあるので、そうそう簡単に「わかりました!」とは言えない部分があります。

ディレクターに依っては校正回数は3回まで、と決めてる方(それ以降は有償)もいたり、僕はデザインの段階では出来るだけ対応はするけど、コーディング後は有償です(とは言ってもデザインであったとしても全面変更、レイアウトも変更とかはさすがに別途ですよ)。

また、デザインの段階でも修正をそのままデザイナーに依頼するのではなく、カンプのデザインを僕がフォトショやイラレで切り貼りして簡易な修正用のイメージを作成して、それでなんとなくのイメージをつかんでもらったりもしています。そうでないと、デザイナーへの修正指示書いて、それにデザイナーが対応する、というのは工数がかかってしまい、結局、それは納期にも影響してきます。自社のためでもあるし、クライアントのためでもあります。

ディレクターは提出するデザインに自信をもつこと

ディレクターは、デザイナーが作ってきたデザインのチェックは必ずやっています。
(やってますよね?)

打ち合わせ内容に沿った文書やレイアウトの確認など色々とチェックをします。そのチェックのなかでクライアントの指示や打ち合わせと違うものがあってもデザイナーにその意図を確認し、その意図のほうがいいと思ったものは通します。

そして、ディレクターである以上、その通したデザインには責任を持ち、クライアントに提出したうえで、そのデザインの意図や制作物の意図を説明します。逆にデザイナーが出してきたものをクライアントに出せない、と判断するなら、デザイナーさんにお願いしてそこは対応してもらいましょう。ただし、そこで修正したものがクライアントに受け入れられなかった場合は・・・(だから責任持って説明してねって話です。)

誤解してほしくないのですが、別にディレクターとデザイナーが通したデザインや制作物が一番いい、と言ってるわけではないです。
ディレクターやデザイナーのレベルにも依るし、打ち合わせ内容を理解していない可能性やクライアント側の事情もあったりもしますので、くどいですが、「それが一番いい」とは言いません。

「あ、これは迷走してるな」とか「迷走するだろうな」と感じた場合は、その指示に対し即座に対応ではなく、クライアントと話合う機会を設けたり、簡易イメージを作って検証する、元々の制作意図を振り返るなど、一旦、手を止めてみるのもひとつの手です。


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