前回のブログで紙媒体のデザイナー志望の受講生について書きました。
その受講生が授業中に手掛けた「京都ホテルオークラ130周年記念 西川よしえ展」のための一連の制作物をご紹介します。前回はインビテーションカードを紹介しましたので、今回は案内版と目録を紹介します。
写真家 西川よしえさんは商業写真も撮りますが、アート作品を多く手がけています。そのため、今回の制作物は一環してデザインのクオリティに関する彼女の細かいチェックが入りました。受講生は粘り強くブラッシュアップを続け彼女の満足いくものを仕上げていきました。
産経新聞の記事
家庭画報や写真系のサイトなど、複数のメディアで紹介されましたが、代表で産経新聞の記事のリンクを貼っておきます。
【京都ホテルオークラ】イタリアを拠点に活躍するフォトグラファー 西川よしえ「もののあわれ」写真展 開催
個展の案内版
個展の案内版と、入稿データをタブレットで表示している受講生です。
グラデーションの印刷に起こるバンディング
目録の表紙です。彼が一番苦労したのは、表紙に施したグラデーションに濃淡の縞「バンディング」が出てしまう事です。
バンディングはトーン・ジャンプとも言いますが、abobe Illustratorで作るグラデーションにはとかくそれが起こりがちです。
参考→【ワンポイント】Illustratorのグラデーションのトーンジャンプについて
上記のページに書いてあるような配慮をしても、それでもバンディングは起こります。
受講生はそれを押さえるために、グラデーションはIllustratorで作るのではなく、photoshopの画像で作り入稿データに配置しました。
かなり良い仕上がりになり、西川よしえさんは大変満足されていました。
ロゴマーク起こし
表4には西川さんのロゴマークが配置されていますが、頂いたデータがPngだったため、
受講生は、このサイトでフォントを洗い出しました。
しかし、このミラノのグラフィックデザイナーが制作したロゴマークに使われているフォントと全てのレターが全く同じfontは見つけることができませんでした。2つのレターのみ全く形状が違いましたので、合計3種類のフォントをミックスしてアウトライン化しました。また、西川さんがミラノで持っているスタジオのある建物を模したマークもイラストレーターのベジエで描き起こしました。
ロゴマークはグラデーションと逆で、元のデータがビットマップであると解像度が高くても滑らかな印刷物にはなりません。
目録の文字組
続いて目録の中ページを見ていきましょう。
京都ホテルオークラ社長の挨拶文です。見開きの対訳です。
細かく行間・字間を調整し美しい文字列を実現できました。
沿革とご本人の挨拶ページ
西川さんがお仕事をされてきたイタリア・フランス・日本の富裕層向け雑誌や高級ブランドへの仕事用ポートフォリオも兼ねている目録は、細心の注意を払って文字組のクオリティを実現しました。
目次ページのレイアウト
目次ページは受講生がレイアウトを試行錯誤し、この形になりました。
西川さんを唸らせた美しいレイアウトになっています。
奥付ページ
展覧会やイベントの冊子にはこのような、パートナー、協賛、協力などで社名やロゴが並びます。
多種多様なロゴマークを美しく配置するのは高いデザインセンスが必要になってきます。
作品ページ
作品は高解像度のモノクロのRAWデータを深みが出るようにCMYK分解でeps保存して入稿データに配置します。
モノクロ写真をCMYKに分解する時に全てのインクをマックスで使わずに、MやYを少し押さえ気味にする事が大切です。
黄被り、赤被りをしやすいからです。
実際の作品
展示されている作品は、ミラノの職人の手によってプラチナプリントをされていました。ものすごく立体感があり光っています。
紙焼きされた現物の作品を見て、受講生と「さすがにこれは印刷で再現できないね」と話しました。
ここで印刷の限界を感じる事となりました。
記念撮影
受講生は、これまでミラノと20数回に渡りSkypeのビデオチャットで打ち合わせをし、メッセンジャーのワークグループでデータのやりとり、文章の構成や、校正を繰り返してきましたが、当日初めて西川よしえさんとご対面しました。
お疲れ様でした!今回の制作物はポートフォリオを飾る、強力な就活ツールとなる事でしょう。
そのうちこの受講生の就職状況についてブログでお伝えする事になると思いますので、お楽しみに!