政府ウェブサイトの標準化・統一化

だれもが省庁のWEBサービスの使い勝手が非常にわるいと感じている。商用サイトでは来てもらい成果を落としてもらわなければならない。公的機関のサービスだと必要にかられて訪問する時以外に誰も来ない。そのため、どうしても「機能していればよい」となりがちでUI/UXは置き去りにされてきた。そこで、デジタル庁では政府ウェブサイトの標準化・統一化をする事にした。

ANNAIが落札

2021年8月26日、内閣官房IT総合戦略室は「政府統一Webサイト」の受託事業者を発表した。
官公庁を中心にWebシステム開発を手掛けるANNAI 株式会社 (アンナイ)が落札。落札額は7000万円との事である。

ANNAI実績

ANNAIはDrupal(ドルーパル)というphpベースのオープンソースのCMSを使った内閣府や東京大学、京都市などのWeb開発に携わった実績を持つ。

Drupalはe-コマース含む幅広いwebサービスを構築できる事からウェブアプリケーションフレームワークという位置づけになっている。

政府ウェブサイト構想内訳

UI/UXの統一化に加え、英国の政府統一サイトGOV.UKを参考に、日本政府のサイト全てのUI/UXを統一化日本政府としてのトップページを制作し、そこから各省庁のサイトに飛べるようにする事でアクセスが容易で簡単に国民が必要な情報を得られる環境も整備する。ロードマップは「政府統一Webサイト構築に向けたサービス基盤及びデザインシステム等の実証に関する調査業務の公告に係る説明会」のパワポで確認できる。

政府webサイト統一化の背景

現在、各府省では個別にWebサイトの整備・運用を行っているため、UI/UXに一貫性がなく、類似する内容が複数のWebサイトに散在している。現在、各府省のWebサイトに用いるシステム基盤やコンテンツ管理システムは組織ごとに整備・運用されているため、コストや人的リソースの効率性の観点から課題が存在している状況にある。

政府ウェブサイト構想ワークフロー

以下の手順で行われ、評価用Webサイトとしてデジタル庁サイトの制作も含まれる。
1. 調査計画書の作成
2. CMS・クラウド基盤の実証
3. デザインシステムに関する実証
4. 評価用Webサイトの構築・運用による検証
5. 調査結果報告書の作成

ノーコードツール「STUDIO」

記、「4. 評価用Webサイトの構築・運用による検証」はデジタル庁サイトの事である。
デジタル庁Webサイトはノーコードツール「STUDIO」利用している。

デジタル庁Webサイト

8月31日までは「デジタル庁(準備中)Webサイト」として先行調査事業の評価用Webサイトとして公開。本業務で引継ぎ、9月1日からは「デジタル庁Webサイト」として公開された。
新型コロナワクチン接種証明アプリの配布なども行っている。

政府統一Webサイト

各府省のWebサイトや、申請・手続き等に関するサービスへの総合的なポータル。本事業で作成・公開とあり、スケジュールでは2021年の10月以降でリリースが予定されている。

ANNAIによる政府統一Webの調査事業

2022年01月03日付のANNAIのプレスリリースで「政府統一Webサイト」の構築に向けた調査事業を担当する旨が発表されている。調査にあたり、日本の行政機関のWebサイトの現状と問題点が書かれている。

要約して引用してみると、「日本の行政機関のWebサイトの現状は数千ものドメインを持ち、それぞれが独自に開発・運用されている。統一したIA(インフォメーション・アーキテクチャ)を持たず、メニュー構成、カテゴリーもまちまちでデザインもサイトごとに異っている。それらのサイトが個々のインフラ・CMSで異なるシステムとして構築・運用されているため、省内ユーザーにとっても保守・運用・トレーニング・システム更新など、人的・予算的に大きなコストが掛かってくる。それは間接的に国民の負担増として跳ね返ってくる問題。」

デジタル庁Webサイトリニューアル

2021年12月09日付けプレスリリースにて現行デジタル庁サイトのリニューアルについても記述されている。
現在Stduioというツールを用いて構築されている現デジタル庁のWebサイトをHeadless CMSにてリビルドするプロジェクトとのこと。

Headless CMSとは

API経由で取得したコンテンツを基に、フロントエンド部分は自前で実装する必要がある。そのため、フロントエンドはどんな言語でも実装することができ、Webに限らずネイティブアプリやサイネージデバイス等、さまざまなプラットフォームに配信可能だ。

スナック恭子

代表取締役副社長 太田垣 恭子氏の手掛けるyoutubeは時事ネタ、webネタが満載で業界人は必見だ。慶應義塾大学教授であり内閣官房参与デジタル政策担当の村井 純先生との対談も興味深い。撮影が2020年10月10日で、国のIT政策が一気に進んだという話をされている。それから1年4カ月たった今、政府ウェブサイトの標準化・統一化が予定通りに進んでいる事を祈りたい。滞っている様に見えてもアジャイル開発で進行しているようなので期待して待とう。