デザイナー定番使用のモリサワフォントとは

デザイナーの必需品であるモリサワフォントは一般の人には知られていないフォントです。
高額で販売されていたので個人所有はおろか、デザイン事務所でも全フォントを揃えるのは難しい時代がありました。
それが今やAdobe Typekitを使えば無料で使える夢のような時代になりました。

フリーランスには雲の上の存在だった

モリサワフォント
とても高価だったモリサワフォントは、過去にはフロッピー、のちにCD-ROMからのインストールでしたがMacのキーボードの途中にドングルという、フォントのコピーをプロテクトする器具を取り付けなければ使えませんでした。

写研とモリサワ

モリサワとはアナログ時代の写真植字の定番「写研」の創立者の一人、森澤信夫が起こしたフォントのメーカーです。
森澤信夫はもう一人の創業者石井茂吉と袂を分かち、モリサワを創業しました。写真植字の時代にはモリサワは常に二番手に甘んじていました。

モリサワに転機が訪れたのは、1987年にMac用のDTPソフトを開発するAdobeと提携してからです。
以後、モリサワフォントはDTPにおけるデファクトスタンダードとして盤石の基盤を築きました。

高価で個人では手の出せないフォント

当時、モリサワフォントは印刷業界で独占といってもいい状態で、製版フィルムを出力するためのイメージセッターにはモリサワフォントの代表的なフォント、リューミンや新ゴしかインストールされていない事が多かったです。

©吉田印刷所
製版セッターで使用できる同社のPostScriptフォントは大変高価で1フォント60万円もしていました。
そのため、中々フォントの販売が進まず、Illustorater上で安価なTrueTypeフォントをアウトライン化(文字情報を消し、パスのオブジェクトに変換する作業)をして入稿する人が増えました。

MORISAWA PASSPORT

モリサワは単品売りをやめて2005年より、年間契約フォントライセンスサービス「MORISAWA PASSPORT」開始しました。
1年契約で、PC1台につき49,800円です。
MORISAWA PASSPORT

adobeとの提携

adobeはwebツール開発会社Macromediaを買収した頃から、photoshopとIllustoratoerのweb使用の開発を進めました。
2016年よりTypekitでモリサワ書体が無料で利用可能になり、これまでDTPの独擅場であったモリサワがwebの世界に流れ込んできました。
※参照サイト|Typekit でモリサワ書体が利用可能になります by adobe
webではセッターにインストールされているPostScriptフォントを気にすることもなく、有志が作った無料配布フォントでもなんでも使えてしまうため、モリサワの需要がどんどん減ってきたことに危機感を覚えたのかもしれません。
または、webの文化であるオープンソースの波に、モリサワも乗ったのかもしれません。

※下記は無料配布されているフォント例です。

©Gutenberg Labo

Adobe Typekitの使い方

Adobe Creative Cloud(以下Adobe CCと言います)とはAdobe製品をインストールするためのツールです。
ユーザー登録する事によりadobeIDでインストールできます。Adobe CCをインストールするとアセットより、Typekitのフォントをローカルと同期して使用できるようになります。
Adobe Typekit
なんと、Adobe Typekitでインストールされたモリサワフォントはadobe製品だけでなく、Microsoft Officeなどの他社製品でも使用する事ができます。

完成度の高いモリサワフォントが無料で使えるだけでもAdobe Creative Cloudをインストールする価値はあります。
ぜひ、試しててみてください。